第50回大会レセプション:高円宮殿下のお言葉

高円宮憲仁親王殿下
皆さん、こんばんは。
2、3年前まで、私はこのご挨拶を英語でいたしておりました。でも、私の本当に言いたいことを中学生の皆さんに全部わかってもらうために、私は英語をやめて日本語にしました。
まず、今回の大会に関することから申し上げます。これは毎年繰り返しのように言っていることですけれども、毎年のようにレベルが上がってきています。今回も素晴らしいスピーチの連続でした。私が聞いたのはもちろん、予選、決勝を通じて皆さんのスピーチのごく一部ですけれども、とても素晴らしい、内容のあるスピーチ、そして、英語力もどんどん年ごとに上がっていることを実感しています。
優勝、そして入賞された生徒の皆さん、おめでとうございます。そして、決勝大会、予選を通じてこの大会に参加してくださった皆さん、本当にありがとう。そして、ご家族の方々、指導された先生の方々、本当にお疲れさまでした。心よりお礼を申し上げます。
これも私がいつも言っていることですけれども、英語というのは、日本語と一緒です。言語というのは全て、フランス語でもドイツ語でもヒンズー語でもエジプト語でも、全部同じだと思います。それは、自分の考えを相手に伝える道具だということです。発音が上手い、あるいはたくさんの言葉を知っている、というのはもちろん大切なことではありますけれども、それが皆さんの目標ではないはずです。皆さんの目標は人に会ったときに、自分の考えを正しくその人に伝えて、そして、相手の人の話を正しく理解する。それによって友達になるし、また、その相手の方が、外国の方であればそれが国際交流につながっていきます。今回のスピーチで、ある女の子がサッカーの話をしました。そして、そのサッカーの話から、日本が国際化をはたしてしているだろうか、我々日本人は国際人であろうか、そういうスピーチをしてくれました。私は、日本はまだまだ国際化が遅れている国だと思います。それは、言葉の壁があるからではありません。それは、私たちが長い歴史の中で、外国のものに触れる機会がどうしても少ない島国であるということ、外国から攻められたことがない、征服されたことがない、そういう本当に幸運な歴史を私どもは持っていますけれども、でも、それと同時に、その結果、といってしまっていいのかわかりませんが、私たちは、私たちの知っていること以外のものに対しては恐怖感を持っている、不安を持っている。したがって、外国の人たちに接するときにそういう不安感が出てしまうのではないかなと私は思っています。
本当の国際人というのは、外国語がたくさん喋れたりとか、外国に何回行ったことがあるとか、住んだことがあるとか、世界のことをたくさん知っているということでは必ずしもありません。私が考えている本当の国際人というのは、相手が日本人でもいい、外国の人でもいい、誰かに会ったときに自分の考えをしっかり相手に伝えられること、そして、相手の言っていることを正しく認識すること、そして、これが一番大事だと思うんですけれども、自分の知っている世界とは違う世界がたくさんある、そしてそれを拒否するのではなくてそういう世界もある、そういう習慣もあるということを理解して、そしてその上で、その人と接していくことがとても大事なことだというふうに思います。まだまだ日本は国際化されていませんけれどもこの大会に出場した皆さんが将来大人になったときには、真の国際人になっていただきたい。私は本当にそう思います。そして皆さんはその素質が十分にあると思います。これからも英語だけでなく、いろいろな学科があるでしょう、あるいは、学校以外で勉強することがたくさんあります。ですから、それらを一生懸命勉強して、身に付けて、本当の意味での国際人になっていただきたいと思います。
それから、今回は、先程渡邊社長もおっしゃったように、記念すべき50回大会です。50年前、というのは私がまだ生まれるずっと前の話です。皆さんのご両親も生まれていないでしょうね。その50年前に、高松宮殿下がJNSA基金の鈴木啓正理事長とお話になって、鈴木さんのおっしゃるこの弁論大会の考えに強く賛同されて、そして、読売新聞社が協力して、全面的にバックアップしていただいて、第1回大会が開かれて、そして50年後、今日、その50回大会のこうして決勝が終わって、レセプションで、皆さんでこうして顔を合わせているわけです。
その第1回大会を作ってくれた人、そして、その第1回大会から第50回大会の今回の大会まで全ての大会を世話して、すべての仕事をしてくださったJNSA基金の鈴木理事長、どこにいらっしゃいますか?皆さん、鈴木さんにぜひ大きな拍手を差し上げてください。
今回出場された生徒の皆さんは、鈴木さんがどれほど大変な仕事をなさっているか、よく分からないかも知れないけれども、ここにいらっしゃる先生方の中には、毎年のように鈴木さんにお世話になっている方々がたくさんいらっしゃると思います。
50年、一つのことを毎年続けていくというのは、途方もない力が必要です。それをやってきてくださったことは、大変有り難いことで、そして、私も高松宮様からお引き受けしたこの中学校英語弁論大会を来年から、第1回に私の杯を出させていただきます。とても嬉しく思います。今回1年生や2年生の生徒さんは、来年もまたこの大会に出場するチャンスがあるわけだから、一生懸命練習して、来年の大会にぜひ出て、そして、私の杯をぜひとっていただきたいなというふうに思います。
この50年の長い間この大会を支えてくれた皆さん方の先輩、JNSAの委員のメンバーの方々にも、今日たくさんいらっしゃいますOBの方々、OGの方々にも心よりお礼を申し上げたいというふうに思います。
皆さん本当にこれからの人生頑張ってください。そして、良い英語を話して良い日本語を話して、そして、素晴らしい国際人になってください。おめでとうございます。